4. 決算直前の仕訳
決算直前の仕訳
期末になれば、決算を行います。
決算とは、一年間の損益と期末時点財産状態を整理し、
帳簿を締め切ることを言います。
ここでは、決算手続きに入る前の、
期末に行うべき仕訳を見てみます。
以下の項目について説明します。
- 固定資産の減価償却
- 費用・収益の繰延
- 費用・収益の見越
- 家事按分
- 現金過不足の修正
固定資産の減価償却
減価償却費の仕訳をします。
減価償却の管理表があればそれに基づいて、
年度の減価償却費の合計額を、減価償却費勘定として借方に、
工具器具備品勘定を貸方に記入します。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
12/31 |
減価償却費 |
¥450,000 |
工具器具備品 |
¥450,000 |
費用・収益の繰延
来期に払う(もらう)予定のお金を、
先払い(先もらい)することはしばしばあると思います。
このようなお金を今期の帳簿上から排除することを、
「繰延」と言います。
なぜ、そのようなことをするのかと言うと、
複式簿記では、お金が移動した時点ではなく、
お金が移動する予定ができた時点で、
仕訳をする原則になっているからです。
このような考え方を「発生主義」といいます。
それに対し、お金が移動した時に仕訳をする考え方を「現金主義」といいます。
費用の繰延
1月分の費用を12月に払った場合、
「費用の繰延」に当たり、仕訳が必要です。
ここでは、1月分の家賃¥65,000を、
12月15日に口座から引き落とされた場合の仕訳を考えます。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
12/15 |
地代家賃 |
¥65,000 |
普通預金 |
¥65,000 |
12/31 |
前払費用 |
¥65,000 |
地代家賃 |
¥65,000 |
上記の仕訳をすることで、
経費として計上していた地代家賃が一時的に減ることになります。
このままでは経費が消えてしまうことになってしまいますので、
次年度に費用として正式に計上するために、
期首に下記仕訳をします。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
1/1 |
地代家賃 |
¥65,000 |
前払費用 |
¥65,000 |
収益の繰延
1月分の収益を12月にもらった場合、
「収益の繰延」に当たり、仕訳が必要です。
ここでは、1月に演奏する分の報酬¥300,000を、
12月15日に現金でもらった場合の仕訳を考えます。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
12/15 |
現金 |
¥300,000 |
売上 |
¥300,000 |
12/31 |
売上 |
¥300,000 |
前受収益 |
¥300,000 |
次年度に売上として正式に計上するために、
下記仕訳をします。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
1/1 |
前受収益 |
¥300,000 |
売上 |
¥300,000 |
費用・収益の見越
今期に払う(もらう)予定のお金を、
後払い(後もらい)することもときどきあると思います。
このようなお金を今期の帳簿上に入れることを、
「見越」と言います。
費用の見越
12月分の費用を1月に払う場合、
「費用の見越」に当たり、仕訳が必要です。
ここでは、月々¥65,000の家賃で、
12月分と1月分が、1月30日にまとめて口座から引き落とされる場合の仕訳を考えます。
まず、12月分の家賃を、未払費用という科目で仕訳します。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
12/31 |
地代家賃 |
¥65,000 |
未払費用 |
¥65,000 |
期首には、未払費用は地代家賃に振替え、
1/30に通常通り仕訳します。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
1/1 |
未払費用 |
¥65,000 |
地代家賃 |
¥65,000 |
1/30 |
地代家賃 |
¥130,000 |
普通預金 |
¥130,000 |
期首には、未払費用は地代家賃に振替え、
1/30に通常通り仕訳します。
収益の見越
12月に行った仕事の収益を1月にもらう予定の場合、
「収益の見越」に当たり、仕訳が必要です。
ここでは、12月に行った演奏の報酬¥300,000を、
1月30日に現金でもらう予定のときの仕訳を考えます。
12月分の報酬を、未受収益という科目で仕訳します。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
12/31 |
未受収益 |
¥300,000 |
売上 |
¥300,000 |
期首には、未受収益は売上に振替え、
1/30に通常通り仕訳します。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
1/1 |
売上 |
¥300,000 |
未受収益 |
¥300,000 |
1/30 |
現金 |
¥300,000 |
売上 |
¥300,000 |
家事按分
仕事でもプライベートでも使用している場合、
仕事に使っている割合を掛けて経費を計算します。
これを「家事按分」と言います。
期中に、家事按分を考慮せず仕訳を行っていた場合は、
決算時に、費用の家事分を事業主貸勘定に振り替えます。
たとえば、仕事の車をプライベートでも使っており、
仕様割合が半々であるとします。
年間の車両費の合計額が¥80,000だった場合、
半分の¥40,000を、事業主貸勘定で振り替えます。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
12/31 |
事業主貸 |
¥40,000 |
車両費 |
¥40,000 |
按分率は、根拠ある数字であることが求められます。
車両費なら、走行時間や走行距離。
地代家賃なら、敷地面積率、という具合にです。
現金過不足の修正
万が一、手元に残っている現金が、
帳簿上とどうしても合わないことがあった場合は、
実際の所持金に合うように、仕訳が必要です。
帳簿上と合わないことが発覚した時点で、
現金過不足勘定で仕訳をし、
決算時にも、帳簿上と合わない原因が分からなかったとき場合、
雑収入または雑損失として計上します。
たとえば、6月15日に所持金が帳簿上より100円少ないことが分かり、
決算時にも、その原因が分からなかった場合、
6月15日に現金過不足勘定で処理し、
12月31日に、現金過不足勘定を雑損失に振り替えます。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
6/15 |
現金過不足 |
¥100 |
現金 |
¥100 |
12/31 |
雑損失 |
¥100 |
現金過不足 |
¥100 |
決算時に発覚した場合は、
過不足分を直接、雑収入または雑損失として仕訳します。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
12/31 |
雑損失 |
¥100 |
現金 |
¥100 |
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