9.白色から青色への移行
結局どうするのですか?
という話になる訳です。
青色申告をするためには、
複式簿記で記帳して、青色申告決算書を書けば、
とりあえずはOKということが分かっても、
やっぱり「何から手を付けていいか分からない」という状態に変わりは無いのです。
白色から青色の移行手順
本年度を青色申告で行うための、
必要な手順を、下記に示します。
- 複式簿記による本年度分の記帳
- 合計残高試算表の作成
- 今日現在の資産・負債の整理(貸借対照表の作成)
- 本年度1月1日時点での貸借対照表の推定
- 貸借対照表の内容を1月1日付で元入金勘定で記帳
- 青色申告の承認申請
今年の仕訳と、今日現在の貸借対照表の2つを作成し、
そこから1月1日時点での貸借対照表を推定することが、
移行作業の根幹となります。
この手順に沿って、説明します。
具体的な事例として、Aさんの例を示します。
1.複式簿記による本年度分の記帳
まず、複式簿記で1月1日から今日までの仕訳をします。
報酬を得た、預金を引き出した、楽器を買った、電車に乗った・・・、
すべての取引を仕訳します。
例えばAさんは、下記の10個の仕訳を行ったとします。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
1/3 |
普通預金 |
¥50,000 |
売上 |
¥50,000 |
1/6 |
現金 |
¥20,000 |
売上 |
¥20,000 |
1/8 |
消耗品費 |
¥5,000 |
現金 |
¥5,000 |
1/9 |
現金 |
¥20,000 |
普通預金 |
¥20,000 |
1/9 |
現金 |
¥30,000 |
売上 |
¥30,000 |
1/10 |
消耗品費 |
¥7,000 |
現金 |
¥7,000 |
1/15 |
現金 |
¥10,000 |
売上 |
¥10,000 |
1/17 |
現金 |
¥10,000 |
普通預金 |
¥10,000 |
1/18 |
現金 |
¥7,000 |
売上 |
¥7,000 |
2/1 |
消耗品費 |
¥2,000 |
現金 |
¥2,000 |
2.合計残高試算表の作成
ひとまず、先に行った仕訳分だけを集計し、
合計残高試算表を作成します。
借方、貸方両方の合計額を勘定科目ごとに計算し、合計欄に記入します。
借方、貸方両方に渡る勘定科目がある場合は、引き算をし、
大きい額の方にその額を残高欄に記入します。
借方もしくは貸方の片方にしか無い勘定科目に関しては、
合計欄と同額を残高欄に記入します。
たとえばAさんは、
10個の仕訳から以下の合計残高試算表を作成しました。
合計残高試算表 |
借方 |
|
勘定科目 |
|
貸方 |
残高
| 合計
|
|
合計
| 残高
|
¥83,000 |
¥97,000 |
現金 |
¥14,000 |
|
¥20,000 |
¥50,000 |
普通預金 |
¥30,000 |
|
¥14,000 |
¥14,000 |
消耗品費 |
|
|
|
|
売上 |
¥117,000 |
¥117,000 |
|
¥117,000 |
¥161,000 |
計 |
¥161,000 |
¥117,000 |
3.今日現在の資産・負債の整理(貸借対照表の作成)
今日の時点で、現金、普通預金、固定資産、掛などが、
いくらあるかを整理します。
たとえばAさんは2月1日に、
現金を¥200,000、普通預金に¥500,000持っていたので、
次のような貸借対照表を作成しました。
貸借対照表 |
資産の部 (円) |
|
負債の部 (円) |
勘定科目 |
|
2月1日
| 勘定科目 |
|
2月1日
|
現金 |
¥200,000 |
|
|
普通預金 |
¥500,000 |
|
|
4.本年度1月1日時点での貸借対照表の推定
2.で作成した合計残高試算表と、
3.で作成した今日現在の貸借対照表との差引を行うことで、
本年度1月1日時点での貸借対照表の推定を行います。
Aさんの事例では、
現金が、残高試算表上に借方¥83,000、今日現在の貸借対照表上に¥200,000あるので、
¥200,000 - ¥83,000 = ¥117,000
普通預金が、残高試算表上に借方¥20,000、今日現在の貸借対照表上に¥500,000あるので、
¥500,000 - ¥20,000 = ¥480,000
となり、1月1日現在の貸借対照表は以下のようになります。
貸借対照表 |
資産の部 (円) |
|
負債の部 (円) |
勘定科目 |
|
1月1日
| 勘定科目 |
|
1月1日
|
現金 |
¥117,000 |
|
|
普通預金 |
¥480,000 |
|
|
5.貸借対照表の内容を1月1日付で元入金勘定で記帳
4.の内容をそのまま1月1日付けで元入金勘定で記帳します。
日付 |
|
借方 |
|
貸方 |
1/1 |
現金 |
¥117,000 |
元入金 |
¥597,000 |
|
普通預金 |
¥480,000 |
|
|
6.青色申告の承認申請
青色申告の承認申請を行います。
昨年度分の確定申告時に同時に行うのがよいでしょう。
詳しくは、「8.青色申告の承認申請」にて。
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