Electroreporting フリーミュージシャンの青色申告

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7.申告書Bの作成

申告書B

いよいよ、申告書Bの記入をします。
記入の流れは、ほとんど白色申告のときと同じです。
よって、このページの説明も白色申告のときとほとんど同じです。
申告書Bは、
収入から所得を計算し、
控除額を差し引いた課税対象の所得額から、税額を計算するという一連の作業が、
上に示した写真の、AからDへと順番に出来るようになっています。
一つずつ見ていきます。

A.収入金額等の記入

ここでは、自身の全収入を記入します。
先の青色申告決算書は、事業収入のみの記入でしたが、
給与収入や、不動産収入などがあれば、すべて記入します。
青色申告決算書の損益計算書で記入した事業収入は、
「(ア)事業-営業等」に記入します。
損益計算書の収入額と同額を記入します。
別に、給与収入があれば、
「(カ)給与」の欄に記入します。
源泉徴収票の「支払金額」に当たる金額です。
収入の種類で分けて記入

B.所得金額の記入

それぞれの収入に対する所得金額を、
それぞれ記入します。
収入の「(ア)事業-営業等」に当たる所得を、
「(1)事業-営業等」に記入します。
青色申告特別控除額を差し引いた所得額を記入します。
給与収入があり、「(カ)給与」に記入がある場合は、
給与所得控除額を差し引いた金額を「(6)給与」に記入します。
給与所得控除額の計算は、
以下の表に基づいて行います。
給与収入額 給与所得控除額
162万5000円以下 65万円
162万5000円を超え180万円以下 (給与収入額)×40%
180万円を超え360万円以下 (給与収入額)×30% + 18万円
360万円を超え660万円以下 (給与収入額)×20% + 54万円
660万円を超え1000万円以下 (給与収入額)×10% + 120万円
1000万円を超える (給与収入額)×5% + 170万円
それぞれの所得が計算できれば、
「(9)合計」に合計額を記入します。
事業所得は損益計算書どおりに
給与所得は収入から給与所得控除額を差し引いた額を記入

C.所得から差し引かれる金額の記入

次に、所得控除の計算をします。
所得控除が増えれば、課税所得額が減るので、
結果として、税金が軽くなります。
計算のし忘れがないようにしましょう。
以下に、所得控除の主なものを挙げます。
所得控除の種類 内容
医療費控除 自分や家族の医療費を支払ったとき
社会保険料控除 国民健康保険、年金などの社会保険料を支払ったとき
配偶者控除 所得の少ない配偶者がいるとき
配偶者特別控除 ある範囲の所得がある配偶者がいるとき
扶養控除 扶養家族がいるとき
基礎控除 確定申告をする人すべてが受けられる控除
一つずつ見ていきます。

医療費控除

一年間に払った医療費が10万円または所得の5%を超えていれば、
最大200万円まで医療費控除を受けることが出来ます。
ただし、通常の健康診断や、美容整形などにかかった金額は、
医療費控除の対象に含まれませんので、注意してください。
医療費控除は次のように計算します。
所得合計金額 医療費控除額
200万円以下 (支払った医療費) - (受け取った保険給付金) - (所得合計額)×5%
200万円超 (支払った医療費) - (受け取った保険給付金) - 10万円
計算した値を、「(11)医療費控除」の欄に記入します。

社会保険料控除

一年間に払った社会保険料は全額所得控除されます。
社会保険料控除の対象となる社会保険の種類は主に以下のとおりです。
  • 健康保険
  • 国民健康保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 厚生年金保険/厚生年金基金
  • 国民年金保険/国民年金基金
  • 労災保険のうち特別加入者にかかるもの
納付証明書などをみて、合計額を計算し、
その額を「(12)社会保険料控除」に記入します。

配偶者控除、配偶者特別控除

自身に配偶者つまり結婚相手がいて、
かつ、自身の所得が1000万円以下の場合は、
配偶者控除、配偶者所得控除を受けることができます。
ただし配偶者控除は、配偶者の所得が38万円以下の場合に受けられ、
配偶者特別控除は、配偶者の所得が38万円を超え76万円未満である場合に受けられます。
控除額は以下のように決められています。
配偶者の所得 配偶者控除
配偶者特別控除額
配偶者控除
38万円以下 38万円
配偶者特別控除
38万円を超え40万円未満 38万円
40万円を超え45万円未満 36万円
45万円を超え50万円未満 31万円
50万円を超え55万円未満 26万円
55万円を超え60万円未満 21万円
60万円を超え65万円未満 16万円
65万円を超え70万円未満 11万円
70万円を超え75万円未満 6万円
75万円を超え76万円未満 3万円
76万円以上 控除は受けられない
この表の従って、
「(21)配偶者控除」または「(22)配偶者特別控除」の欄に控除額を記入します。

扶養控除

自身に、生計を一にした被扶養者がいる場合は、
被扶養者一名ごとに、一定額の控除が認められます。
被扶養者の種類 扶養控除額
通常扶養親族
(子など)
38万円
特定扶養親族
(16歳以上23歳未満)
63万円
老人扶養親族
同居した直系親族
48万円
老人扶養親族
同居または直系でない
58万円
障害を持つ親族がいる場合は、
表の金額にさらに35万円を足した金額が控除額として定められています。
「(23)扶養控除」の欄に、計算した扶養控除額を記入します。

基礎控除

基礎控除は、申告者本人が必ず受けられる控除のことで、
控除額は一律38万円です。
「(24)基礎控除」の欄に38万円を記入します。
あらかじめ印字されている場合も多いかと思います。

所得控除額の合計

「(10)雑損控除」から「(24)基礎控除」までのすべてを合計した金額を、
「(25)合計」の欄に記入します。
これで、所得控除の記入は完了です。
所得控除は、取りこぼし無く忘れず計算

D.税金の計算の記入

所得と控除額から、課税対象所得額を計算し、
そこから、納税額を計算する部分がDです。
まず、所得金額の「(9)合計」欄に記入した所得額合計から、
控除額計算の「(25)合計」欄に記入した控除額合計を差し引き、
その金額を「(26)課税される所得金額」に記入します。
次に、課税額を計算します。
課税額は次の表を用いて計算します。
「(26)課税される
所得金額」
税額の算出式
1,000円から 1,949,000円まで (26)課税される所得金額×5%
1,950,000円から 3,299,000円まで (26)課税される所得金額×10% - 97,500円
3,300,000円から 6,949,000円まで (26)課税される所得金額×20% - 427,500円
6,950,000円から 8,999,000円まで (26)課税される所得金額×23% - 636,000円
9,000,000円から 17,999,000円まで (26)課税される所得金額×33% - 1,536,000円
18,000,000円以上 (26)課税される所得金額×40% - 2,796,000円
税額が計算できれば、
「(27)上の(26)に対する税額」に記入します。

税額控除の計算

(28)から(31)は税額控除の計算です。
税額控除がある場合は記入します。
ここでの詳細な説明は割愛します。
(余裕があれば、別の機会で説明します)
「(32)差引所得税額」に、税額控除額を差し引いた値を記入します。
税額控除が無ければ、「(27)」と同じ金額を記入してください。
外国での所得税徴収などがあれば、「(33)-(34)」に記入し、
「(35)再差引所得税額」に差し引いた金額を記入します。
外国所得税などがなければ、「(32)差引所得税額」と同額を記入します。
「(36)定率減税額」に定率減税による税額の控除額を記入します。
定率減税額は以下のように計算します。
注意:定率減税は、平成19年から廃止されています。
記入欄も変更となっている可能性がありますので、
欄番号等は随時読み替えてください。
定率減税は廃止されました

源泉徴収額の記入

源泉徴収額の合計額を、
「(37)源泉徴収額」に記入します。
給与収入、事業収入など収入の種類によらず、
源泉徴収された総合計金額を記入します。
試算した源泉徴収額を記入

納税金額の記入

「(35)再差引所得税額」から、
「(36)定率減税額」と「(37)源泉徴収額」を差し引いた金額を、
「(38)申告納税額」として記入します。
値が負(ゼロ未満)になれば、一番左端に「-」を付けておきます。
「(44)青色申告特別控除額」の欄に、
青色申告決算書で記入した青色申告特別控除額を、
記入しておきましょう。

申告書B一枚目記入おわり

これで、申告書Bの一枚目の記入は終わりです。
お疲れさまでした。

申告書B二枚目の記入

申告書B二枚目のEの部分には、
収入と源泉徴収の取引先別内訳を記入しなければいけませんので、
あらかじめ、収入額と源泉徴収額の年間合計額を、
取引先ごとに計算しておきましょう。
計算結果は、Eの部分に記入します。
Fの部分には、
所得控除の詳細について記入します。
Gの部分は、住民税の納付方法を選択する欄です。
給与所得がある場合に、左の「給与から差引き(特別徴収)」にチェックを付けると、
事業所得分の住民税も給与天引きされるようになります。
給与天引きを選択した場合、給与を支払っている会社は、
給与所得以外の所得があることが分かってしまいますので、
ミュージシャンという職業を会社に黙ってこっそりやっている人は、
右の「自分で納付(普通徴収)」にチェックしましょう。
あと、所得額、源泉徴収額、所得控除額を証明するような、
源泉徴収票、納付書、所得証明書などを、
二枚目の裏面に貼っておきましょう。

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