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1. 所得税の仕組み

所得とは

収入と所得という二つの言葉は、
ニュアンスはよく似ていますが、全く違うものです。
収入とは報酬や給与として得たお金の合計金額、
所得は、収入から必要経費を差し引いた金額のことを言います。
たとえば、1月にギターのコンサートをやって、
主催者から報酬として10万円もらったとします。
ただ、同じ1月に、ギターの弦が切れた為、
弦を楽器店で5千円で購入したとします。
このとき所得は、
¥100,000(収入) - ¥5,000(必要経費) = ¥95,000
と計算でき、9万5千円が所得となります。
収入 - 必要経費 = 所得

所得控除とは

先に計算した所得金額に直接税率をかけるわけではありません。
所得額からある一定の金額を差し引いた金額が、課税対象の所得額となります。
この差し引く金額を所得控除と言います。
所得控除が多くなれば、
その分課税所得額が減りますので、
結果として、税金が安くなります。
所得控除の代表的なものには以下が挙げられます。
所得控除の種類 内容
医療費控除 自分や家族の医療費を支払ったとき
社会保険料控除 国民健康保険、年金などの社会保険料を支払ったとき
配偶者控除 所得の少ない配偶者がいるとき
配偶者特別控除 ある範囲の所得がある配偶者がいるとき
扶養控除 扶養家族がいるとき
基礎控除 確定申告をする人すべてが受けられる控除
たとえば、年間の収入が150万円で、
必要経費が20万円だったとします。
この人には、専業主婦の妻と5歳の子供が一人いる場合は、
配偶者控除、扶養控除、基礎控除がそれぞれ38万円認められますので、
¥1,500,000 (収入)
-) ¥200,000 (必要経費)
-) ¥380,000 (配偶者控除)
-) ¥380,000 (扶養控除)
-) ¥380,000 (基礎控除)
¥160,000 (課税対象所得額)
と計算でき、課税対象所得額は16万円ということになります。
所得 - 所得控除 = 課税所得

所得税額の求め方

課税所得額が分かれば、税額を算出することができます。
税率は、超過累進税率と言って、
より所得が多ければ、より高い税率が課せられる仕組みになっています。
最新の税率は、国税庁ホームページ内「タックスアンサー」に記載されています。
国税庁タックスアンサー
たとえば、課税所得が500万円だとすると、
上表の「3,300,000円から 6,949,000円まで」に当てはまるので、
500万円×20% - 427,500円 = 572,500円
と計算でき、572,500円が所得税額となります。
超過累進税率表を用いて、所得税額を求める

税額控除と低率減税

ある特別な条件を満たせば、
所得税額から一定の金額を差し引くことができます。
これを、税額控除と言います。
住宅ローンを組んだときに適用される、
住宅借入金等特別控除もその一つです。

源泉徴収とは

今までは、収入から所得税額を計算するお話でしたが、
ここで、話が少し変わります。
源泉徴収とは、
報酬などを払う人が、
受け取る人の所得税分をあらかじめ差し引いておくことを言います。
たとえば2月にある店で、
時給800円で計120時間デモ演奏をしたとします。
この時、10%の源泉徴収が定められていた場合、
源泉徴収額は以下のように計算できます。
¥800 × 120時間 = ¥96,000(収入)
¥96,000 × 10% = ¥9,600(源泉徴収額)
となり、収入から源泉徴収額を差し引いた¥86,400が、
手取りの報酬となります。
源泉徴収額はいわば所得税の前払いです。
なので、確定申告時には、
源泉徴収によって払った分と、真の所得税額との差額を、
納付金額として申告すればいいのです。
また、源泉徴収額が真の所得税額より多ければ、
確定申告時に、納め過ぎた分を取り戻すことが必要となります。
これを、所得税の還付といいます。
真の所得税額 - 源泉徴収額 = 申告時納付金額
(この金額がマイナスになれば税金は還付される)

で、結局何が必要なの?

収入から所得税額を求める流れは以下の通りです
  1. 収入から必要経費を差し引き、所得を計算する
  2. 所得から所得控除を差し引き、課税所得を計算する
  3. 超過累進税率表を用いて、課税所得から所得税額を計算する
  4. 所得税額から税額控除および低率減税額を差し引き、真の所得税額を計算する
  5. 源泉徴収額と真の所得税額との差額を計算し、納付金額(還付金額)とする
従って、計算するために必要なものは以下のものとなります。
  • 収入がわかるもの (源泉徴収票や報酬支払い明細)
  • 必要経費がわかるもの (購入時の領収書、交通機関の利用覚え書き)
  • 所得控除がわかるもの (親族の所得証明、医療費の明細、社会保険料の納付証明)
  • 源泉徴収額がわかるもの (源泉徴収票)
「うわっ、多くて面倒臭そう」と思うかも知れませんが、
実際、量が多いのは必要経費の領収書だけで、
あとは、それぞれ1枚か2枚というのが普通のはずです。
なので、フリーミュージシャンにとって、
経費さえうまく整理できれば、
確定申告はそんなに怖くないのです。
確定申告に必要な金額は、
収入、経費、控除、源泉徴収の4種類
次回では、どのようにすれば経費を整理できるかを、
「帳簿を付ける」という観点からお話したいとおもいます。

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